Category XV「花 Flower」

花をタイトルにした曲を考えると、高度な技術を要したり、深い精神性を求める方向には行きにくい。E.シラス(1827~1909)の優れた例もあるが、概ね安直なサロン・ピースに陥りがちである。そのため、このカテゴリーでは世俗と折り合う品性が問われることとなろう。ピアノで「花」を表現した第一世代のアプローチの多様性を見てみよう。


ローベルト・シューマン(1810~1856)の「花の曲」ほど、この作曲家の本質を突いた作品があるだろうか。「花」は象徴に過ぎず、幻想と迷妄の中を往きつ戻りつ彷徨する詩人の姿が浮かぶ。

R.Schumann:Blumenstuck Op.19 (変ニ長調) pf:Osamu N. Kanazawa (録音:2016/12/13)