Category XXIV「ワルツ Waltz」
19世紀の舞曲の王、ワルツ。レントラーに起源を持つこの舞曲のポピュラリティは圧倒的なものとして、その筋の大家を幾人も生んだ。この世代のピアニスト=コンポーザーたちもこぞって作品を残したが、ワルツに関わらなかった作曲家ー例えばアルカンのようなーの方が特殊な存在といえるのでは。興味深いのは、ワルツはフォーマルな舞曲であるが故に作曲家の人間性がそれ程伝わって来ない。「仮面舞踏会」さながらに、ワルツはそれ自体が魅惑的なマスクとしての性格を持っている。日本語訳としての「円舞曲」はもはや死語のようだ。
パリ音楽院のエリート、薄命のデジゼ兄弟の弟ジュール(1812-1848)は極めて洗練されたセンスとピアニズムを備えた貴公子のような存在だった。残された30点余りの作品の多くは、今日所在不明となっている。「12のワルツ」Op.23は簡潔なワルツ集で、第4曲は特に「煙突掃除婦」と記される。
J.Déjazet:La Savoyarde, d'après 12 Valses Op.23 ハ短調 pf:Osamu N. Kanazawa(録音:2017/7/8)