Category XIII 「スケルツォ Scherzo」
スケルツォの起源は古く、17世紀に遡るとみられるが、ハイドン、ベートーヴェンらによって交響曲、ソナタなどの中間楽章名として定着。ショパン世代になってピアノ曲の独立した曲種として確立された。「諧謔曲」ゆえに勢いテンポは速いが、必ずしもユーモラスな音楽ではない。機敏さ、能動性を主体とした内容で、一定の規模を備えた力作が目立つ。
"もう一人のピアノの詩人"ステファン・ヘラ―(1814~1888)の卓越した創造性について知る人は少ない。ショパン、シューマンと比べて余りにも軽んじられてきたヘラ―は超絶技巧的な書法を嫌い、ピュア―な簡潔さを求めるあまり、一見穏健な中級者向けのサロンピースの作曲家と見られてきたためである。しかし、その「前印象派的」作品が特にフランスの次世代に与えた影響は少なくない。チャールズ・ハレに捧げたこの「幻想的スケルツォ」も、皮肉なまでに単純化された書法から立ち上る幻想的名技性は驚異的である。
S.Heller:Scherzo fantastique Op.57(ホ短調) pf:Osamu N. Kanazawa(録音:2016/12/11)