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ヒラー, フェルディナント

ヒラー, フェルディナント

Hiller, Ferdinand (von)

1811 - 1885

ケルン音楽院院長を務めながら、ヒラーはピアノ演奏・指揮をするために各地へ赴いた。著名な音楽家たちが集う大規模なライン音楽祭では企画の中枢を担ったほか、ドイツの多くの主要都市の音楽祭にも招かれて指揮をとった。彼はドイツ内外への膨大な数の演奏旅行を通して比類ない名声を築きあげたが、とりわけモーツァルトをはじめとする古典的レパートリーの演奏者として評価が定まっていった。リストやヴァーグナーに代表される当時の前衛的かつ強烈な個性を前面に押し出す音楽家たちが活躍する19世紀後半にあって、一部の批評家や音楽家の中には、ヒラーのレパートリーを保守的と見なし、また一定の作曲スタイルを持たない没個性的な音楽家だとする者もあった。だが、世紀後半のドイツ楽壇における「保守⇔前衛」の図式を創り出す背景には多分に政治的な背景も絡んでいるだけに、現代の我々が彼の作品を聴くこともせず、単純に過去の消極的な言説になびいてヒラーを凡庸な作曲家と断ずるならば、それはヒラーという存在の本質を大きく捉え損なうことにつながる。というのも、確かにヒラーは精神的には古典に重きを置いているが、実際の作風は極めて柔軟で多様であり、17世紀から18世紀、同時代のスタイルを知り尽くし自在に利用し、時には古い形式の中に、才気走った独自の響きを織り込んでいるからだ。「博学のヒラー」のこのカメレオン的な創作態度が、却ってヒラーに一定の評価を与えることを困難にしてきた要因となっている。このことは18世紀と19世紀のスタイルを自在に操った師フンメルにも言える。若きヒラーはフンメルの中に将来の自分の姿、すなわち学者、即興演奏家、ピアニスト、作曲家の全ての素質を兼備する総合的音楽家としての自分を見出していたに違いない。

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