バッハ :トッカータ ニ長調 BWV 912
Bach, Johann Sebastian : Toccata D-Dur BWV 912
作品概要
楽曲ID:401
楽器編成:ピアノ独奏曲 ジャンル:トッカータ、ピアノ独奏曲、ピアノ・ソロ、ニ長調
総演奏時間:12分30秒
作曲年:1707
作品番号:BWV 912
調:ニ長調
著作権:パブリック・ドメイン
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楽譜情報:2件
国内コンサート演奏:14回
作品解説 (2件)
1~10小節間自由に即興的に弾ける部分ですが、D-durから始まるものの、8小節目では借用和音が出てきます V7/V 。そしてそのままA-durで終わるというなんとも不思議なカデンツです。ダイナミック的には冒頭1小節目は、p で始まり、徐々にクレシェンドをかけて8小節目に行きつく感じで良いと思います。スピードもここで一度止まり、緩やかなテンポで8~10小節間を弾いて下さい。8小節目、2拍目から一度音量を下げ、9小節目から徐々に音量を上げて、最後10小節目はフォルテで終わって下さい。11~67小節間同じような主題が入り乱れているように見えますが、きちんと整理をすると曲の構造がわかり、演奏の助けになります。まず、11小節目4拍目から12小節目3拍目までを1つの「素材」とします。右手の主題を覚えておいて下さい。これを 素材A とします。この素材Aは、17小節目3拍目まで続きます。後からも素材Aは出てきますが一度ここで切りが良い場所とします。この11~17小節間は、2つに分けることができ、1つ目は12小節目(厳密には11小節目4拍目)から、14小節目の3拍目まで。そこから17小節目3拍目までが2つめです。1つ目と2つ目の違いは、右左が入れ替わっていることのみです。1つめは、4つに分けることができ、素材Aは調性を変えて4つ入ってきますが、これは転調をしたわけではなく、ハーモニックシークエンスと呼ばれるパターンです。強引に調を割り当てるのであれば、A-dur D-dur A-dur D-durと続きます。そして2つ目は左右が入れ替わるのですが、伴奏の音数に注目して下さい。1つ目よりも音が多くなっていますね。これは音量的にはこの2つ目の方が大きいという理解で良いです。これも強引に調を割り当てると、h-moll A-dur G-dur と順次進行で下行していますね。もしかしたらディミヌエンドが良いのかもしれません。17小節目4拍目より出てくる素材を、素材B とします。左右どちらを覚えて頂いてもかまいません。この素材Bは、23小節目3拍目まで続きます。後からも素材Bは出てきますが一度ここで切りが良い場所とします。この6小節間、再びハーモニックシークエンスを繰り返し、全部で6つの素材Bがありますね。左右入れ替わったり、fis-mollの素材Bもありますね。23小節目4拍目から、32小節目3拍目までは、素材Aと素材Bが合体します。素材AとBが合体したものを素材ABとします。この素材ABは、32小節目3拍目までに4つの素材が登場します(厳密には最後の4つ目だけ少し長く続きます)。32小節目4拍目から38小節目3拍目まで新たな素材が出てきます。これを素材Cとします。この素材Cのセクションは大きく分けて2つに分かれ、これは単純に、左右が入れ替わったパターンになります。38小節目4拍目から42小節目3拍目まで4つの素材Aが登場します。今度は1回毎に左右が入れ替わります(忙しさを思わせますね、テンションが高くなっていると理解します)。42小節目4拍目から46小節目3拍目まで素材Cが登場します。45小節目などは、右手のラインが変形していますが、左手16分音符4つのパターンの、最後3つは、Fis-Eis-Fisと書かれており、短2度下がって短2度上がるパターンですので、これも素材Cとしました。46小節目4拍目からは16分音符がアルペジオになる、素材Bが登場します。これは48小節目の3拍目まで続き、そしてここから16分音符のパターンは、アルペジオのパターンと、素材Cのパターンが入り乱れます。51小節目は左右ともに16分音符となりますが、これは素材Cの変形と考えてください。53小節目3拍目より最後の素材Aになります。56小節目1拍目まで続きます。56小節目2拍目からは、素材Cが来て、再び16分音符が左右に同時に出てきます。これは63小節目3拍目まで続きます。63小節目4拍目からは今までに出てこなかった素材で、CODAと見なします。67小節目が最後の小節になります。奏者はこれらの分析を元に、強弱や音質、方向性等を決定してください。68~126小節間この小節間は3つの部分に分けることが出来ます。1 68~80小節間この部分は即興性が必要になります。68~70の3小節間、シークエンスが続きます。1つ1つの表情を変えるように弾きます。71~73小節間6つのシークエンスがあります。ここでも全てが同じにならないようにします。以下同様、即興的に音量を調節しながら進みます。2 80~111小節間フーガです。主題は80小節目1拍目裏拍よりテノールの声部で、81小節目3拍目までとします。副主題は80小節目3拍目裏拍よりソプラノ声部で81小節目3拍目のFisまでとします。奏者はこの80~111小節間でピークポイントになる箇所を把握し、そこに向かいますが、その間、主題と副主題は調性や声部を変えて、シークエンスに挟まれながら進みます。各主題と副主題の音量や音質を異ならせて進んで下さい。これは筆者の個人的な見解になりますが、106小節目109小節目あたりがピークポイントになる部分と思います。このフーガの部分に関しては、その前後にある、68~80小節間と111~126小節間に比べれば、淡々と進んでいきますが、ある程度はロマンティックな奏法を取り入れて良いと思います。完全にメトロノームのようにはならない方が良いです。3 111~126小節間再び即興性の必要になる部分に入ります。68~80小節間と同様の注意事項となります。127~277小節間明るく楽しいセクションです。音数は、終わりに向かうに従って多くなりますので、最初はpから弾き始めた方が良いでしょう。仮に主題が、131~134小節間までとします。これが多くのパターンのシークエンスに挟まれながら調性を変えて先に進みます。一応調性を書いておきます。131~134小節間 A-dur139~142小節間 D-dur150~153小節間 D-dur154~157小節間 e-moll158~160小節間 G-dur164~167小節間 A-dur168~171小節間 h-moll176~179小節間 h-moll180~183小節間 D-dur197~200小節間 A-dur201~204小節間 e-moll205~208小節間 G-dur209~212小節間 h-moll (変形)216~219小節間 fis-moll253~256小節間 h-moll257~260小節間 D-dur264~277小節間 CODAこれらの主題も、終わりに行くに従い音数が増えてきます。つまりは音量が上がります。感傷的な部分以外は、淡々と進み、徐々に曲を盛り上げ、最後のCODAを迎えるまでテンションを下げないようにして下さい。
音階の走句による導入、アレグロ、アダージョに続くフーガおよびトッカータ風のコーダ、そしてジーグ風のリズムによるフーガとコーダから成る。複縦線に従うなら4部分だが、書法の上ではより多様なものが並置されている。
演奏のヒント
1~10小節間 自由に即興的に弾ける部分ですが、D-durから始まるものの、8小節目では借用和音が出てきます V7/V 。そしてそのままA-durで終わるというなんとも不思議なカデンツです。ダイナミック的には冒頭1小節目は、p で始まり、徐々にクレシェンドをかけて8小節目に行きつく感じで良いと思います。スピードもここで一度止まり、緩やかなテンポで8~10小節間を弾いて下さい。 8小節目、2拍目から一度音量を下げ、9小節目から徐々に音量を上げて、最後10小節目はフォルテで終わって下さい。 11~67小節間 同じような主題が入り乱れているように見えますが、きちんと整理をすると曲の構造がわかり、演奏の助けになります。まず、11小節目4拍目から12小節目3拍目までを1つの「素材」とします。右手の主題を覚えておいて下さい。これを 素材A とします。 この素材Aは、17小節目3拍目まで続きます。後からも素材Aは出てきますが一度ここで切りが良い場所とします。この11~17小節間は、2つに分けることができ、1つ目は12小節目(厳密には11小節目4拍目)から、14小節目の3拍目まで。そこから17小節目3拍目までが2つめです。1つ目と2つ目の違いは、右左が入れ替わっていることのみです。1つめは、4つに分けることができ、素材Aは調性を変えて4つ入ってきますが、これは転調をしたわけではなく、ハーモニックシークエンスと呼ばれるパターンです。強引に調を割り当てるのであれば、A-dur D-dur A-dur D-durと続きます。 そして2つ目は左右が入れ替わるのですが、伴奏の音数に注目して下さい。1つ目よりも音が多くなっていますね。これは音量的にはこの2つ目の方が大きいという理解で良いです。これも強引に調を割り当てると、h-moll A-dur G-dur と順次進行で下行していますね。もしかしたらディミヌエンドが良いのかもしれません。 17小節目4拍目より出てくる素材を、素材B とします。左右どちらを覚えて頂いてもかまいません。この素材Bは、23小節目3拍目まで続きます。後からも素材Bは出てきますが一度ここで切りが良い場所とします。この6小節間、再びハーモニックシークエンスを繰り返し、全部で6つの素材Bがありますね。左右入れ替わったり、fis-mollの素材Bもありますね。 23小節目4拍目から、32小節目3拍目までは、素材Aと素材Bが合体します。素材AとBが合体したものを素材ABとします。この素材ABは、32小節目3拍目までに4つの素材が登場します(厳密には最後の4つ目だけ少し長く続きます)。 32小節目4拍目から38小節目3拍目まで新たな素材が出てきます。これを素材Cとします。この素材Cのセクションは大きく分けて2つに分かれ、これは単純に、左右が入れ替わったパターンになります。 38小節目4拍目から42小節目3拍目まで4つの素材Aが登場します。今度は1回毎に左右が入れ替わります(忙しさを思わせますね、テンションが高くなっていると理解します)。 42小節目4拍目から46小節目3拍目まで素材Cが登場します。45小節目などは、右手のラインが変形していますが、左手16分音符4つのパターンの、最後3つは、Fis-Eis-Fisと書かれており、短2度下がって短2度上がるパターンですので、これも素材Cとしました。 46小節目4拍目からは16分音符がアルペジオになる、素材Bが登場します。これは48小節目の3拍目まで続き、そしてここから16分音符のパターンは、アルペジオのパターンと、素材Cのパターンが入り乱れます。51小節目は左右ともに16分音符となりますが、これは素材Cの変形と考えてください。 53小節目3拍目より最後の素材Aになります。56小節目1拍目まで続きます。 56小節目2拍目からは、素材Cが来て、再び16分音符が左右に同時に出てきます。これは63小節目3拍目まで続きます。 63小節目4拍目からは今までに出てこなかった素材で、CODAと見なします。67小節目が最後の小節になります。 奏者はこれらの分析を元に、強弱や音質、方向性等を決定してください。 68~126小節間 この小節間は3つの部分に分けることが出来ます。 1 68~80小節間 この部分は即興性が必要になります。68~70の3小節間、シークエンスが続きます。1つ1つの表情を変えるように弾きます。71~73小節間6つのシークエンスがあります。ここでも全てが同じにならないようにします。以下同様、即興的に音量を調節しながら進みます。 2 80~111小節間 フーガです。主題は80小節目1拍目裏拍よりテノールの声部で、81小節目3拍目までとします。 副主題は80小節目3拍目裏拍よりソプラノ声部で81小節目3拍目のFisまでとします。奏者はこの80~111小節間でピークポイントになる箇所を把握し、そこに向かいますが、その間、主題と副主題は調性や声部を変えて、シークエンスに挟まれながら進みます。各主題と副主題の音量や音質を異ならせて進んで下さい。これは筆者の個人的な見解になりますが、106小節目109小節目あたりがピークポイントになる部分と思います。このフーガの部分に関しては、その前後にある、68~80小節間と111~126小節間に比べれば、淡々と進んでいきますが、ある程度はロマンティックな奏法を取り入れて良いと思います。完全にメトロノームのようにはならない方が良いです。 3 111~126小節間 再び即興性の必要になる部分に入ります。68~80小節間と同様の注意事項となります。 127~277小節間 明るく楽しいセクションです。音数は、終わりに向かうに従って多くなりますので、最初はpから弾き始めた方が良いでしょう。仮に主題が、131~134小節間までとします。これが多くのパターンのシークエンスに挟まれながら調性を変えて先に進みます。一応調性を書いておきます。 131~134小節間 A-dur 139~142小節間 D-dur 150~153小節間 D-dur 154~157小節間 e-moll 158~160小節間 G-dur 164~167小節間 A-dur 168~171小節間 h-moll 176~179小節間 h-moll 180~183小節間 D-dur 197~200小節間 A-dur 201~204小節間 e-moll 205~208小節間 G-dur 209~212小節間 h-moll (変形) 216~219小節間 fis-moll 253~256小節間 h-moll 257~260小節間 D-dur 264~277小節間 CODA これらの主題も、終わりに行くに従い音数が増えてきます。つまりは音量が上がります。感傷的な部分以外は、淡々と進み、徐々に曲を盛り上げ、最後のCODAを迎えるまでテンションを下げないようにして下さい。
演奏動画 (1)
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