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スカルラッティ, ドメニコ

スカルラッティ, ドメニコ

Scarlatti, Domenico

1685 - 1757   スペイン

国内コンサート登場回数: 11回

スカルラッティの大部分のソナタは二部形式をとる。前半は属調、または短調作品なら関係長調に転調し、後半で主調に戻るという調構造の枠組みは一般的なものだが、目的調に至るまでの大胆な転調、和声的豊かさはしばしば注目される特異性である。 彼の作曲法は聴衆の期待を裏切る手法に富んでいる。上述の大胆な転調の他、突然の総休止、規則的なゼクエンツの拒否(例えば、反復の際に小節を増減するなどといった手段による)、解決音への対斜など、安易な予測は許されない場合が多い。これらが彼の音楽を非凡にする要素と言えよう。 上記に関して、演奏上注意したい点がある。主要筆写譜のうち、少なからぬ数のソナタにおいて、前半の終りと後半の頭にかけて弧線が引かれている。この弧線は前半の繰返しでは前半を閉じる数小節を省き、後半の冒頭へ進むようにとの指示である。スカルラッティはしばしば予測される忠実な楽節の繰返しではなく、繰返しにおいて先行楽節の終止を省略し、次の新しいセクションを導入する。こうして音楽には型にはまらない淀みない流れが保証される。そして前半部の末尾から後半部へ移行する時には、弧線によって指示された前半末尾の省略によって、流動的な移行が果たされているのである。ロンゴやカークパトリックの校訂版を含む、従来の多くの出版譜において、この弧線の意味は見落とされがちであった。それに対してギルバート校訂版は、この弧線を再現しているため、演奏時にはぜひ参照されたい。 技巧的な難度の高さも彼のソナタの特徴の一つである。「フライボワイヤント時代」と呼ばれる、Esserciziに続く時期の作品群(1749年の筆写譜収録の作品群)はその代表で、鍵盤ヴィルトゥオーゾとしての実力を示す性格が色濃い。不自然と言えるほど頻繁で持続的な両手の交差、広域にわたるアルペジオ、素早いポジション移動を要する跳躍の連続などのアクロバティックな鍵盤楽器語法は、長いこと研究者の注意を引いてきた。また技巧的な音形は単なる曲芸的な身振りではなく、形式や和声と合理的な関係を持つ場合も多いため、奏者には技術に加え分析能力も求められるだろう。

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